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(2008.1.29号)
「豊かさ」と資産のバランス その1


2007年12月25日号の1面にあった昨年の10大ニュースをみて感じた現代の「豊かさ」について考えてみたいと思います。

1、「資産家」は必ずしも「豊か」であるとは言えない・・・・・・。
永い間、日本の生活常識として、資産家を「お金持ち」と言い、中でも、土地や、貸家等、不動産を多く持っている人を「お金持ち」と言い、「豊かさ」の同意語として又、象徴として見てきた概念があります。

20世紀の後半になって、だんだんと、日本人も貧乏民族から抜け出し、一億総中流階級民族とか言われるようになり、先の概念も徐々に変化してきました。

特に殆どが大学を卒業し、教養レベルも一段と底上げされるようになった、団塊の世代の人たちの生活常識や価値観が大きく変化し、それが新たな現代の生活常識ともなりつつある昨今、新しい思想や、哲学、価値観が形成され、ご他聞にもれず「豊かさ」に対する概念も大きく変わりつつあります。

2、「真の豊かさ」とは何か?
私のファイナンシャル・プランナーとしての22年間の経験のなかで、多くの資産家や、資産家になろうとされる方々のご相談に応じて参りましたが、特に最近、決して豊かとは言えない資産家の方を多く見かけます。

多くの資産や、不動産を持たれながら、納税や保存のために必要な管理運営費用等のマネーフローや、相続問題をはじめ、様々な生活文化のずれの中でご苦労され、およそ豊かとは思えない生活をされている状態を見かけ、つくづく真の豊かさとは、資産だけで決まるものではないと確信するようになりました。

そのような体験と実態を踏まえて、真の豊かさとは、次の「4種類にわたる資産」がバランスよく形成されて初めて「豊か」になる条件が揃ったと言えるのではないかと思うようになりました。

(1) 生活基礎資産・・「生活の基本となる必要資金」
家屋、宅地、貯蓄、年金、給与、報酬、車 等

(2)生活投資資産・・「継続して、生活基礎資産へ資金を提供できる生産資金」
株式、投信、債券、不動産、別荘、金、海外資産等

(3)生活社会資産・・「社会的に存在価値が認められる状態や実績、評価」
寄付、名誉、地位、後継者、家内安全、平和 等   

(4)生活文化資産・・「その人自身の人間らしさ」
  健康、家族、趣味、教養、友人、ボランテイア、時間、環境、宗教、音楽、自己実現、思い出 等   

大切な事は、(2)の生活投資資産が余りにも多い場合、勇気と計画を持ってバランスが取れていない、(1)生活基礎資産や、(4)の生活文化資産等のどれかに振り向け、対応してゆく行動力と客観性があるかと言う事です。

今まで、私が相談にのりました、数多くの実態から見ますと、やはり、俗に「資産家」と言われるバロメーターでもある、(2)の生活投資資産が目立って多く、(4)の生活文化資産や(3)の生活社会資産に廻っている資金や配慮が余りにも少ないのが現状です。

つまり、不動産や投資運用資産を一杯持っておられるのに、家族も無く、お金を使う時間すらなく、何の趣味も持たず、楽しく語らえる友人もなく、さりとて、何処かへ寄付をして、社会的に貢献するような事もしない、このような資産家を見たとき、誰もが、その人を「豊かな人」と見てくれるでしょうか。

(その2に続く)


田中 英之 (たなか ひでゆき)

1933年 京都生まれ、立命館大学法学部卒、三和銀行入行後、各支店長を歴任
1986年 FP専門会社「プラザ21」を設立
1987年 日本FP協会設立に参加、初代理事に就任
1998年 日本FP協会、副理事長、及び「プラザ21」社長を退任
1999年 FP教育研究所を設立、所長に就任、FP教育事業に着手
2004年(有)FP教育研究所、特別顧問
2006年(株)優益FPオフィス、相談役
著書・・・「快活人生アイデア集」DFP出版、「FPから見た災害対策」共著 日本FP協会出版、「FPビジネス進化論」近代セールス社出版